2007.04.01

園長・副園長コラム

幼稚園の役割を考える

4月1日(日)

副園長 土岐 環

「ガイアの夜明け」~保育所が足りない!をご覧になった方も多いのではないだろうか。
役所さんの一人芝居・・・保育所探しで交わされる夫婦の会話。姿も声もない妻の台詞が手に取るようにわかる。そして、口論に・・・。想像のつく最近の家族の風景。
それほど、少子化と騒がれる中にも保育所が不足しているのでしょう。
・ビルの中の託児所。「通勤の途中に会社と提携している保育所に預けて出勤できるので時間的・労力的に助かる」とお母さんの話。
・大規模販売店。従業員の子どもの為の託児所完備。
この制度があるので、パートに出るのを決断できた」と話すお母さん。
子どもは、お母さんの勤務時間に合わせてタイムカードを押し、預けられる。
・深夜まで働かなければならないシングルマザー。
急の依頼でもお泊りに対応できる24時間保育の園での様子。
さようならをしてまるで家に帰るように階上の別の部屋で、夕食を食べ・お風呂に入り布団を敷いて寝る子ども達。
様々な地域でいろいろな現状と取り組みが紹介されており、仕事を持つお母さんは、このような保育所がないと安心して働けない現状が伝わってきました。
お母さんを待つ子どもが寂しい思いをしないよう、大家族のような温かさで保育をする保育所の必要性もよく理解できました。
けれども 何か違和感を覚えたのは、私だけでしょうか。
先日卒園した年長児の姿を目にし、3年間の教育の格差を歴然と感じました。
タイムカードを押して預けられる子ども達に、一斉保育が出来るのでしょうか。
お母さんを待つ間、ボールのプールで楽しく遊ぶ子どもの笑顔。
いざ就学となった時45分の授業中、話を聞けるようになるのだろうか。
ビルの託児室で運動会や発表会・おもちつきは、経験できるのだろうか。
行事を通して、頑張る力や工夫する力を身につけ、友達と協力し出来た時の達成感を味わい成長していく子ども達なのです。
働くお母さんの為には、必要な保育所や託児所や保育サービス。
お母さんが働きやすくなればなるほど“子どもの為”から遠ざかる現実。
それは、地域の抱える問題が違っても同じだと感じています。
子どもは、親の手元で少しずつ社会性を身につけ、親もまたゆとりをもって子育てにかかわり、子どもと一緒に少しずつ親になっていくというのが、理想です。
けれども、今の社会でそれが無理なのなら、“保育”や“教育”が後回しになることによって、様々な問題が起こらないよう 行政に迅速な対応を求めます。
幼稚園が保育所化したり、保育所が幼稚園化するような無理のある手段で表面を取り繕うのでは、問題解決は先送りです。
私達も、子どもを中心に据え“この地域のニーズにあった子育ては何か”幼稚園に出来る地域貢献を考え、努力していきたいと思っています。